認定NPO法人とくしまコウノトリ基金

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みんなにやさしい「はばたき」

おいしくて安全、さらに姿も美しいレンコンを育てるための両輪は、もちろん農家の努力と畑のチカラ。そんな両輪を縁の下で支えるのが、地力を高めて、作物に適切な養分を与える肥料という存在です。

△コウノトリの魅力を語る村澤久視子社長。

●高い基準による特別栽培

農協やホームセンターといった農業資材販売店に行くと、サツマイモ、ナス、トマトなどの野菜から、バラなどの花、いろいろな果樹に適した専用肥料が各種売られています。ならばレンコン専用の肥料もあるのではないか。ウェブ検索してみると、根野菜専用も含めていくつか種類があることがわかりました。

そうしたレンコン専用肥料の一つに、県内で生産されている「はばたき866」があります。注目したのは「コウノトリにやさしいレンコン栽培」をうたい、さらにはレンコンの特別栽培に対応していること。特別栽培とは、農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に従って生産された化学合成農薬や化学肥料に由来する窒素成分を慣行レベルの50%以下にすることとされています。

「はばたき866」は、有機質原料由来の窒素が全体の85%以上を占め、「慣行レベル50%以下」の基準を大きく下回っています。この専用肥料を開発販売しているのは、徳島市大原町に本社を置く有限会社丸喜商店。さっそく代表取締役の村澤久視子社長に、誕生のきっかけなどについてうかがいました。

△肥料卸の有限会社丸喜商店は創業65年を迎える。

●レンコン専用肥料への挑戦

「コウノトリに興味を抱いたのは、鳴門での最初の巣作りをニュースで知ってからですね。しばらくして県主催のツアーに参加させてもらい、本格的にコウノトリの保護を考えるようになりました」と村澤社長。兵庫県立コウノトリの郷公園で企画されていた巣作り体験に参加し、そこで20年ほども野生で生きることや、つがいになると死ぬまで一緒に過ごす一夫一婦制であることなどの生態に一層愛着を覚えたのだそうです。

同社の創業は昭和30年。肥料問屋として販路を広げる中で、スダチの専用肥料やみかんの専用肥料など自社製品の開発も手掛けてきたそうです。ただ「レンコン専用の肥料はまだありませんでした。そこで、コウノトリにやさしい肥料を作るのは私の役目だと思ったのです(笑)」(村澤社長)

△特別栽培対応の専用肥料「はばたき866」。

●おいしくて安全なレンコン栽培への一歩

長い社歴の中で蓄積されたノウハウを元に基本的な配合を行い、そのうえでレンコンの研究者や専門家から適切な意見や指導を受け、実際のレンコン田での試験運用など、数年の時間を経て完成させたのが「はばたき866」でした。

「収穫されたレンコンの成分値を民間の分析機関で調べてもらったところ、一般流通品に比べて、糖度が高く、さらに抗酸化力の数値が極めて高くなっていました」と村澤社長。特別栽培対応の配合を模索することで、おいしく、ひいては食べる人の身体にもやさしいという結果につながったようです。

「はばたき866は、まだまだ市場では知られていません。今後、この成果を広く伝えることで、コウノトリにも、農家さんにも、そして消費者のみなさんにも喜んでいただけるレンコン生産につなげていければ」と話す村澤社長。その想いはきっと、力強くはばたくコウノトリが運んでくれるように感じました。

※「はばたき866」の売上金の一部は、コウノトリをまもる活動に寄付していただいています。

△「人にも自然にも、そしてコウノトリにも喜ばれる仕事がしたい」と村澤社長。

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